MBA Update 最終回 (MBA Update‐210)

2017.10.08(日)

今から5年8か月前の2012年2月5日、MBA Updateがスタートしました。私の青山学院大学での「最終講義」でMBA Update創設をお知らせした日の20日前でした。

あれから今日まで210篇の投稿をしてきましたが、齢74を来春に迎える最近は知力、体力共に少しずつ衰えを感じ始め、論調もマンネリかなと思うことが多く、そろそろやめ時かなと考えていましたが、本日付けでMBA Updateを引退することに意を決しました。

6年ほど前、MBA Update最初の記事として「ユニクロ会社説明会 大学1・2年生、はや参加」をとりあげ、経団連主導の就職協定への疑問、反論を投げかけた時が懐かしいです。 続きを読む

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掃除機の雄 EV走らす        (MBA Update‐209)

2017.9.28(木)日経朝刊

コードレス掃除機や羽のない扇風機等で革新的なイメージが浸透している英国ダイソンが、2020年までに先行する既存EV(電気自動車)とは根本的に違ったものを売り出すと発表した。

既に英高級車アストンマーチンから技術者を引き抜き、400人規模の態勢でバッテリーから車体の設計・開発まで基本的に自前で手掛ける。モーターは掃除機で培った技術を進化させEVに搭載する。

EVの肝となる電池は、リチウムイオン電池の倍以上の容量があり充電時間を大幅に短縮できる「全固体電池」を搭載する。米ベンチャーを約100億円でM&A済みで、EV搭載用に改良を加えている。 続きを読む

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日立 米に「IOT世界本社」   (MBA Update‐208)

2017.9.20(水)日経朝刊

日立がIOTで先行するGEやシーメンスに対抗して、日米のIT子会社を統合しシリコンバレーに「IOT世界本社」を設立した。日立グループのIT人材の約1/3の7000人が集結する大型拠点となる。

この記事を見て、私は十年程前グローバルマーケティングの講義で力説した「GIE,Globally Integrated Enterprise, Pull型へのすでに起こった未来」6パターンの第4事例「特定事業部を海外に設置」を思い出した。(グローバルマーケティング講義レジメNo.7-2参照)

その当時既にグローバル化へのトリガーとして戦略的事業本部を日本から海外に移設する事例のはしりが、 続きを読む

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「企業内起業家」のすすめ (MBA Update‐207)

2017.9.18(月)日経朝刊

コラム「経営の視点」で日経の小川シリコンバレー支局長が、大手の眠れる資産活かせ、とANAの企業内起業家(イントラプレナー)育成の取り組みを紹介している。

2016年に発足した「ディジタル・デザイン・ラボ」が新しいビジネスモデルを試す「場」となり、一例としてビッグデータを活用した金融ビジネスの検討が進んでいるとか。ANAの前身は1952年設立の日本ヘリコプター輸送で、当初はヘリコプター2機と社員16人のベンチャーだったそうだ。

社内ベンチャーは、大企業の活性化や眠れる特許の活用等でこの数十年よく話題になるが、ごく一部の例外を除いてほとんどめぼしい成果は出ていない。 続きを読む

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ネット通販株、中堅に勢い (MBA Update‐206)

2017.9.9(土)日経朝刊

日本のネット通販は楽天、ヤフーなど大手は伸び悩んでいるが、中堅企業に勢いがあり株価が急伸しているという。数社が紹介されていて、その中に私が大学教授に転身し起業の研究を始めた十数年前から注目している「エニグモ」と「北の達人」が入っていて、懐かしく自分のことのように嬉しかった。

エニグモ創業者の須田将啓社長は慶応大理工学部修士卒業後、博報堂に入社し、4年後の2004年に学友で電通勤務の友人とスピンオフしてエニグモを設立し、2012年マザーズでIPO。 続きを読む

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スタートアップ大競争 ボーン・グローバル(MBA Update‐205)

2017.8.28(月)日経朝刊

今日から始まった「スタートアップ大競争」の企画シリーズ記事、興味深くなりそうな気配がする。起業を「ベンチャー企業」という日本語英語的な言葉で無く「スタートアップ」という世界共通語で日経新聞も今後一貫して表現するきっかけになって欲しい。

初回はスタートアップもここまで来た、として「ボーン・グローバル」が取り上げられている。私が起業の研究に取り掛かり始めた20年程前にボーン・グローバル(世界生まれ)なベンチャーという言葉が日本でも使われ始めた。生まれながらにしてグローバルな展開をする企業、と考えればよい。その当時日本発のボーン・グローバル事例がいくつか報告されていたが大きな発展はできなかった。 続きを読む

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ディジタル時代の小売業 アマゾン一強 (MBA Update‐204)

2017.8.22(火)日経朝刊

小売業の歴史を見ると、時代の波を先導する会社が支配的な地位を形成するが、それも10~20年しか続かず、新しい業態が新たな支配者を創り出してきた。

百貨店という業態はシアーズという世界最大の小売業者を生み出した。その後大規模小売店という業態がウオルマートを世界最大の小売業者にした。そして今ネット通販という業態で、アマゾンを世界一の小売王者にしようとしている。

アマゾンは従来の小売業のすべてを駆逐するのだろうか、いやそうでもないかもしれない、という迷える想いのフィナンシャル・タイムズの記事の以下の内容は興味深い。 続きを読む

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眼の誕生、産業構造を一変(AI経済教室)(MBA Update‐203)

2017.8.7(月)日経朝刊

AI(人工知能)は何をもたらすかの問いに、古生物学者アンドリュー・パーカーが提唱した「カンブリア爆発」が、産業の世界でも起こりつつあるのでは、という大胆な発想による松尾豊東大准教授の提言は私には大変興味深い。

地球46億年の歴史のなかで約5億年前のカンブリア紀に初めて「生物に眼が誕生」し生物の生存戦略が多様化し、短期間に現存するすべての生物の大分類が出来上がったとする「光スイッチ説」だ。

イメージセンサーとAIのディープラーニング(深層学習)が組み合わさり、ようやく機械の眼が見えるようになったと言う。最近の眼を持つ機械の誕生によるディープラーニングとものづくりの融合は日本のチャンスでもあり挑戦でもある。 続きを読む

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EVが変えるクルマ経済     (MBA Update‐202)

2017.7.30(日)日経朝刊

EV時代の本格的到来が音を立てて近づいてきている。今年2017年は数年後に「EV元年」だったと呼ばれるかもしれない。

米テスラが約400万円のEV量産車種モデル3の出荷を始めた。1回の充電で約350キロ走行可。今年3月予約開始1カ月で約40万台の予約獲得。2018年には年間50万台製造すると言う。イノベーションのジレンマの掟通り、やはり破壊的商品は、現商品を守りにかかる大企業ではなく、新興のベンチャー企業がリーダシップを取った。

EVはガソリンやジーゼル等の内燃機関から電機によるモーターへの技術的シフトと見られがちであるが、時代の潮流から見ると、機械からICT(情報通信技術)への変換、MITメディアラボの創設者ネグロポンテが1995年にその著“Beeing Digital”で主張した基本コンセプト「アトムからビットへ」がいよいよクルマに押し寄せたと考えた方が良い。 続きを読む

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企業の研究開発投資(今日のことば) (MBA Update‐201)

2017.7.27(木)日経朝刊

日経の今年度の企業研究開発活動調査報告で、トヨタ、ホンダ、日産、ソニー、パナソニックの自動車、電機関連がトップ5を占め、AI,IoT,ロボット、自動運転等の新技術開発に期待が集まっている。

海外の大手企業、特に欧米企業との技術革新に関する討議の中でよく出てくるのが、各国の研究開発費のGDP比率の話題である。国際交流の多いビジネスパーソンが知っておいた方がいいと思われるそれに関する基本的な情報をいくつか述べてみたい。(多くは今現在比較可能な2014年ごろのデータによる)

研究開発費総額での順位は記事にもあるように、米国(約48兆円)、中国(38兆円)、日本(18兆円)、ドイツ、韓国、フランス、イギリスの順である。各国は毎年微増だが、中国はこの10年で8倍の急増。 続きを読む

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